葉桜の頃に

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いつものようにおばばは沖田の部屋へとやって来た。 手には湯桶と洗い立ての浴衣を持って。 「沖田さん、入りますよ」 襖を開けると、今日も今日とて眠り続ける沖田の姿があった。 まずは障子を開けようかしら、と部屋へ足を踏み入れたおばばは、何か感じて沖田の方を見た。 「沖田さん?」 あまりにも静かに。 「沖田さん……」 沖田は息を引き取っていた。 その顔はただ深く眠っているかのようだった。 ほんのり笑って見えたのは、おばばの錯覚かもしれない。 そしてこの日以降、毎日のように現れていた黒猫の姿も消えた。
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