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「…───そして俺は解放されたんだけど、俺悪くないよな。正直おでん食べたかった」
「それは綾人が気持ちが悪いと思うぞ。……大丈夫だ綾人、どんなに気持ちが悪くても僕は友達だ」
そう言えば、と昼の濃い出来事を話せばトドメの一撃。波動拳。
致命傷すぎて各自帰宅している中だっての立ち上がる気なれねーよ……!
俺的に機転利かせてボケてみたのにあんな排水溝の詰り見るような目。思い出しただけで震えが止まらん。
「落ち込んでいるのか綾人」
「うん…」
「飴食べるか?」
「うん…」
「すまない綾人、それスッパイマーン100だ」
「うん…」
どうりで唾液腺ぶっ壊れた訳か…。
涙の代わりに唾液を流していると、奏は手を繋いで立ち上がらせてくれた。
ついでに俺の荷物も代わりに持ってくれて……ぐすっ、やさしい…。
「俺と奏ゎ……ズッ友だょ……!!」
「精神異常きたしたのか?」
「現実て厳しいャ…」
「そうだ、香坂が今日の帰りは遅くなると泣いていたぞ」
「一人寂しい…」
「夕飯は食堂でおでんでも食べるか?」
「食べる…」
泣きながら答えると、奏は返事の代わりに微笑みを返してきた。
樹野湖学園に本格的に入学したくなっちゃったョ……。
◇
「奏さん奏さん、何だか俺ら遠巻きにされてない?」
「綾人が危険視されているだけだと思うぞ」
「猛獣か何かかよ。あ、もしかしてだから俺の手繋いでたり?」
「フッ」
「いいえかNOで答えてくれよ」
俺らを円形に人が近寄って来ないの何でなんだろうな。しかも歩く度に器用にも円は崩れない。
そう、まるで俺らが洗剤でその他群衆が油のようにパアッ! っと散ってく。パアッ! と。
「俺の心ポッキーだからこの状況耐えれない」
「極太か?」
「いや極細」
「そうか。綾人もスペシャルおでんでいいか?」
「そうかで終わらせられちゃった…ウン……」
「今日はこの僕が奢ってやるからそう悲しむな」
「キャッキャッ」
ヤベーよ誰だよこのイケメン? 俺のスパダリかな。
この数時間で実感したけど、奏は確かにナルシストになるのも仕方ないほどのイケメンだと俺は気が付いた。
例えクソダサい厨二病が入っていようとも。
「嬉しいから今度弁当作ってやるよ! 好きな食べもんある?」
「ふむ、そうだな……チョコが好きだな。他には唐揚げやパイナップルとかも好きだ」
案外普通…つか統一性ねーな、という本音は南京錠かけて心の東京湾に投げ捨てた。
なるほどな、チョコ、唐揚げ、パイナップル……。
コレなら料理下手って言われる俺もめちゃうま飯が作れる気するわ。
「号泣するほどうめえの作ってやるからな!!」
「この僕を泣かせようとするとは…フフ、受けて立とう」
ガリ○オポーズ奏を全スルーし、俺は早速明日にでも作ってやろうと心に決めた。
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