2816人が本棚に入れています
本棚に追加
「綾人!」
取ってくれようとしてた風見を断り、自分で口元を拭いていると太陽がいきなり叫び俺の耳元に手を伸ばしてきた。
「は? なん」
止める間もなく、その手は俺の耳を塞ぐようにし触れた。
なんだ、と言い切る前に耳を塞がれていても分かるほど、食堂に今までと比にならない程の歓声が轟いた。
「きゃあぁぁあぁああぁぁあ!!!!!!」
「帝様ぁあぁあぁ!!! 素敵ぃぃぃぃ!!!」
「神楽様ッッ美しッッ!!」
「踏んでくださぁぁぁい!!!」
「花宮様抱いてえええ!!!」
「王道ひやっほぉぉぉぉぉい!!!」
「海様、空様あああ!!」
「愛してますぅぅうううぅう!!」
「犬飼様愛らしいですううう!!」
「書記様ぁあ!! こっち向いてぇぇえ!!!」
そんな絶叫の中、あまりにも平然としている風見と凪にこれが普通なのか、と思うと同時にコレが普通ってどういう事だと思ったが、太陽が耳を塞いで来たのは俺の耳を守るためだと気付いた。
見た目は清少納言だけど俺は良い友達を持ったな。さんきゅ。
「黙れ」
目を瞑り、うんうんと頷きながら太陽に感動をしているとそんな低く、それでいて威圧の込もった声が呟かれた瞬間。
辺りが水を打ったように静かになった。
何事かと前を見れば、清少納言基太陽の神妙面がドアップに視界いっぱい映り込む。
不意打ちなそれに俺はつい
「ぶふぅっっ!!!」
吹き出してしまった。
──ぶふぅっっ!!!
──ぶふぅっ
──ぶふ
・ ・ ・ 。
静かな食堂に俺の吹き声が妙にエコーがかりながら響き、周りの視線を独り占めした【完】
最初のコメントを投稿しよう!