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「うわ広くね?」
左右対称に並んでる木々に、右側にはベンチと無駄にでかい噴水。どこ見ても目に優しくねーんだけど。
勿論左右対称ゆえに左側にもベンチと無駄にでかい噴水と屍…屍?
「…」
「ぅぅ…」
俺は何も見てない。
レッツゴー。
…って理事長室がどこにあんのか知らない件。
もしやあの屍が案内人かも知れない件
「…まぁ大丈夫か、俺って結構勘いいし」
そう何度目かの意気込みをし、俺はやっとこさ学園内へと足を踏み入れた。
◇
えー…。
あれからかれこれ多分三十分は経ったと思う。
潔く言うと俺は迷子になり、未だ理事長室に辿り着けていない。
さてさてここはどこだろうか。
現在地。DQNの溜まり場みてーな所にぼっち。
加え要素で悪寒のする薄気味悪さ。
そこまで考えてある一つの仮説が浮かび上がる。
…まさかとは思うが、お化けとかそこら編の類いのモノは出ないよな…?
…出ないか。外だって明るしいな!
うんうん、だいじょーぶだいじょ「おい」
「ッッギャァァァ!! 俺は食べても美味しくありませんんン!! 調子に乗ってマジすんませんッしたァァァァ!!」
そう叫びながら俺は廊下のど真ん中でスライディング土下座を神様仏様幽霊様にかます。
プライドはないのかって? あるっきゃねえだろ!!
見事なほどのフラグ回収に内心血涙を流しながら耐えていると「おい」ともう一度低音。
あぁ、こんなにもパーフェクトな土下座を
かましたのになんて非情な…きっと俺はこのまま死ぬんだな…。
……けどこのまま死ぬのも俺可哀想じゃね。
そこで思い至る。
そだ、最期ぐらい幽霊を一発殴ろう!!
恐怖故からアドレナリンが放出されたのか、無駄にテンションが高くなって、後先なんて考えずに俺はゆらりと立ち上がった。
「俺だってやられっぱなしじゃあねーんだッっラァ! 幽霊なんて全く怖くねー……ぞ?」
三流ヤンキー以下のセリフをぶちかましながら拳を握りしめ、震える足腰を立たせて顔を上げた先には大層な美形が佇んでた。
え?
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