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「へけっ」
そこにいたのは霊でも貞子でもDQN。お手本のようなDQN。
髪は真っ赤で耳にもバチバチピアスな不良イケメンが眉間に皺を寄せながら俺を睨んでいた。
やんのかコラ!!(震)(震)
「…なんだお前」
「……ぁ…あ、 俺? 俺は今日転入してきた香坂綾人。お前は?」
今までの醜態をまるで無かったかのようにように名前を聞き返せば、オオカミくんは何故か狼狽えた。
チラッと見えた犬歯がオオカミっぽいのでオオカミくん。
「おーいオオカミくん、大丈夫か?」
顔を近づければ更に狼狽え初め、目を左右に揺らし始める。
あまりにも挙動不審過ぎる態度にはてなマークを飛ばしていると、驚いたように口を開け一言。
「お前、俺のことが怖くねぇのか?」
「え? お前…まさか」
「…だよな、やっぱ」
「ぐふっ……何故か周りはおっ、俺を恐れ離れていく、やはり俺は孤独になる運命…っふ、とか思って拗らせちゃってる系厨二病か? ンぶふッっ!」
妙なツボに入ってしまい腹を抱えながら大爆笑し始めれば「は?」と、素っ頓狂な声と共に困惑を顕な顔が見下ろしてきた。
「大丈夫大丈夫。誰にだってそんな年頃はあっ、あるしな。ぐぶっ」
「…別に厨二病じゃねえし。俺は加賀 朔だ」
「んふ。あ、そうだ朔! 良かったら理事長室まで案内してくんね? ちょっと迷っちゃってさ」
訊けば朔はまたもや間抜けな顔を晒した。
始めは怖かったが全貌が明らかになれば、少し厨二病なだけだって事が分かって微笑ましい。
「さっきから何驚いてんだよ。どした?」
「…や、なんでもねえ。それより理事長室って言ったか?」
「ん? あぁ」
「理事長室はここから真反対だぞ」
「まじか」
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