身勝手な親愛なるクソ親父

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「あべっ」 「阿部? どうした綾人ww」 春風に揺られながらゲームをしていた手を止める。 外は相変わらずの快晴で気分も清々しい…じゃなくて。 「普通に真壁にブレザー返すの忘れてたわ。ちょっと返してくるわ」 「えー、明日でもいいんじゃね?」 「生憎借りパクの趣味はねーからな。じゃ、行ってくる」 今までやっていたゲームをセーブし閉じて、自部屋の机に置いておいた真壁のブレザー入り紙袋を持ち部屋を出た。 そう、何も聞かずに ◇ 「うーん」 迷 っ た 。 まぁ…な? 二度あることは三度あるからさ。 けどまさかまた迷うとか…もしかして勘鈍って来てんのかな。 勘がいい所が俺の取り柄だったはずなんだけど…。 「あ、分かれ道…どっち行くか」 「おい!」 ちょうど分かれている廊下に首を傾げ、いっその事どちらにしようかなでもしようかと考えていると、後ろから苦にならない程度の高い声が聞こえた。 「ん? …隊長さん達じゃないすか!」 振り向いた先には確か怪鳥と副会長の親衛隊隊長が二人揃っていた。 「あ! あの後風紀委員長達呼んでくれてあざっした。助かりました!」 「お、おまっ! 頭上げろ!」 「俺達加害者だよ?」 腰を折り頭を下げると前方から隊長さん達の焦った声が聞こえて、顔を上げると同時に首後ろを撫でて苦笑する。 「元々は俺が悪かったんです。いくら不可抗力だとはいえ、確かに先輩…生徒会に対する態度が悪かったですよね」 「「……はわ…」」 「は…わ?」 少し下げ気味だった視線を上げて隊長さん達を見ると、その顔は真っ赤に染まっていた。 そしてその反対に俺の顔は青くなる。 …もしかして俺、またなんか失礼なこと言った?
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