身勝手な親愛なるクソ親父

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やべぇやべぇ、と焦る姿は不審者の格好と相まって完全に不審者だろう。 それにもまたやべぇと更に焦っていれば、隊長さん達が口を開いた。 「…軽井沢(かるいざわ) (らん)だ」 「俺は坂口(さかぐち) (みお)」 「はい…?」 「…僕達今日からお前の親衛隊になるから!!」 「え…えぇえ?! な、なんでですか!」 「何って」 「「惚れたからに決まってんだろ」」 「は…ぁぁあ!? や、会長と副会長はどうしたんすか!!」 もしかして不審者? 不審者がタイプなのか? ぐるぐると意味のわからない説まで立てて困惑してると、軽井沢先輩がはんっと小馬鹿にしたように片眉を釣りあげた。 「馬鹿かお前? 僕達は惚れてた訳じゃなく憧れてただけ」 「えぇぇ…けど俺親衛隊とかありませんし…」 「大丈夫、それなら集めればいいだけ」 「それに俺の親衛隊になりたいって人いるはず…」 「「ここにいるけど?」」 「…う、うす……」 「で、お前の親衛隊作っていい? いいよな? な?」 見上げてくる眼光は初めてあった怪鳥と同じぐらいの圧力。 俺より小さくて、まるでチワワなのになんでこんな圧があるんだよ、と思いつつも心とは裏腹に口は勝手に動いた。 「お、おけデス」 「やった! ……じゃない、ふん! 親衛隊出来たら報告してやるから、じゃあね」 「またね」 軽井沢先輩はそっぽを向きながら歩きだし、坂口先輩はいつかの無表情を崩してにこやかに手を振ってくれた。 ぽけーとそんな先輩二人の背中を眺めていると、はっとある事に気づく。 「ちょ、待ってください!!」 「なに?」 「あ、あの…迷ったので風紀委員室まで案内してくれると嬉しいです……」
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