2814人が本棚に入れています
本棚に追加
理事長室に案内された俺は元々知り合いだったのもあり、お堅いこと挨拶は省いてすぐに開放された。渡された物は寮部屋のキー兼キャッシュにもなるカードキーのみ。
ちなみに学園の説明は朔に色々と教えてもらったと口を挟めばそれも省かれた。
この学園にいる生徒は節操が無いやつが多いだとか、美形な生徒には高確率で親衛隊がいたり、クラスはS、A、B、C、Dとあったりだとか。ちなみに朔はSクラスらしい。
厨二病の割に良い奴なんだな、と思い返してしみじみ…。
俺はいま迷子です。助けて朔。
新しい学園にルンルン気分だったのはいいが、普通に職員室を聞き忘れた。そんで多分理事長も言い忘れた。
…と、なれば、このはやっぱ俺の最強の勘だか。
歩けば何とかなるだろ。勘で行こ。勘で。
◇
意気込み数分ほど1階を徘徊しまくってると、職員室プレートが見えて口角がつり上がった。
俺が天才。全人類俺を褒めたたえて。
自画自賛をしつつスライド式の白扉を開け、中を覗けば勢いよく手を振ってくる人影を見つけた。
あの清少納言は……!!
「綾人! 今さっきぶりだな!!」
「あ? お前が二人目の転入生か?」
おわ、なんかホストみたいな人来た。
「誰がホストだコラ」
「誰って俺の目の前…って心読まないでください。恥ずかしいっす」
レッドシャツ着てる人リアルで見たの初です俺。しかも似合ってんのがツボ。
「棒読みすんな。そのホストがお前らの担任だ」
「まじっすか」
「まじだよ、ほら行くぞ」
「うぃー」
「おう!!!」
道中の小話
「お前らさ」
「ん?」
「なんだ!?」
「その不審者コーデなんだよ。小日向に至っては…アレだしな」
なんだよその目は。
確かに俺はマスクとグラサンとパーカーフード被ってるけど不審者じゃ…どちゃくちゃ不審者やないかーい!
「これは家庭内事情っていうやつでっせ」
「俺もそうだ!!」
「待て太陽。どんな家庭内事情で清少納言にならなきゃいけねーんだ」
「色々あるんだよ! 早く行くぞ!」
「えぇ…」
最初のコメントを投稿しよう!