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「へ…うわぁ!! な、ななな、なんだ貴様!!」
「俺はただの通りすがりの腐男子でっす!!
空気なんで無視してくださいww」
「貴様馬鹿か? 人は空気にはなれないんだぞ」
ふっと馬鹿にしたようにドヤ顔をする如月。
そしてそんな如月の言葉にぽかんと口を開ける凪。
そんな二人のやり取りに俺はまた腹を抱えた。
「…て、……天然×無自覚=最高オブ最高ぉぉおぉ!!!」
耐えきれず机に伏せて笑っていると凪が雄叫びをあげ、また色んな角度から撮り始めた。
「なんだ。いきなり気持ち悪くなったぞ」
「あー、コイツの特病だから気にすんな」
「そうか、分かった」
ツンデレナルシなのに何故か素直で馬鹿すぎる奏に、面白いを超えて段々と心配になってきたな…。
「…お前騙されやすそうだな。気をつけろよ?」
「ふっ、この僕が騙されやすはずないだろう」
一体全体どこから湧いてくるのか、如月は自信たっぷりなドヤ顔をかましてくる。
けれど俺からしたらやっぱりおバカな子にしか見えないから不思議だ。
「どこからその自信が湧いてくるんだか」
「それは僕だからな! …あっもうこんな時間じゃないか!」
如月は部屋に掛けられた時計を見ると、すぐに忙しなく帰りの準備を始めた。
「急ぎの用でもあんのか?」
「同室者とクッキーを作る約束をしているんだ。僕は身も心も美しいから約束はちゃんと守る主義だ」
「はは、美しいとか関係ないだろ」
「関係ある! じゃあ僕はもう帰るからな」
「おう、またな」
「……チャーハン美味しかった…じゃあな!」
「え」
扉が勢いよく音を立てて閉まると同時に俺も硬直した。
「……ふはっ」
素直じゃないけどどこか素直な如月につい吹き出していると、ぽんと肩に凪の手が置かれる。
鼻にはティッシュが突っ込まれていた。
「天然ツンデレ攻めって…いいよなぁ」
「なに言ってんだ。なぁ凪、季野湖学園ってなんだ?」
「あぁ、季野湖学園はこの学園…樹華野湖学園と同じぐらいのお坊ちゃんマンモス学園だけど勉学、スポーツ、人気度、全部に負け続けてんだ。
今さっきアイツが言ってたようにライバル校だな、ちなみに季野湖学園も男子校!」
「初めてこの学園の名前知ったけどたけのこだったんだな。…どっちかと言うときのこの山の方が好きだな俺」
何気なくそう小さくと呟くと、どうやら呟きを聞き取った凪がどこか焦ったように両肩を掴んできた。
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