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「そこで少し待っとけ」
担任は死亡フラグセリフを吐くとキーキー動物園の猿並、またはそれ以上にやかましい教室内に躊躇なく足を踏み入れた。
流石担任、伊達に先生をやってない。
「お前らさっさと席つけー」
「ウッ、色気に処されるッ…!!」
「イヤッ目線だけで孕まされちゃう!!」
「貴方専用のホス狂になりたあああい!!」
もしかして俺の転校先って豪華絢爛な動物園だったりすんのかな。
「今日は転校生が二人いる。入って来い」
中から聞こえた声だけでも十分濃い生徒がいるんだな、と廊下と足の裏が友達になりかけてる俺の袖を太陽がちょいちょい引っ張り「行こーぜ!」と話しかけてきた。
そんな太陽に女の子だったら可愛いのにな…なんて少し思う。
いやだって清少納言に袖くいって…。
そんな俺の心情なんか知らない太陽は、腕を掴みながら教室内へと足を踏み込んだ。
「ほい、小日向から自己紹介」
「あぁ!! 俺は小日向 太陽!! よろしくな!!」
「な、にあれ」
「清少…納言?いや、…え?」
「え、や…え…???」
教室内は団結力がいいらしく一斉に静まり返り、ちらちら太陽を観察し始めた。
静かになってラッキー、そんでそれな。と俺は便乗して一歩前へと出た。
「俺は香坂綾人、よろしく」
「不……審者…?」
「ちょ、警察に通報!!!」
「待って!? 不審者だけど声バチクソ好み!!」
「非王道×2パターン、だと!?」
太陽の時と打って変わり避難する声に思う。
不審者不審者ってさ、もしかして俺のあだ名不審者になるんじゃね? はは、やめろよまじで。
……まじでな?
「お前らの席は…小日向は風見の隣で香坂はあの気持ち悪い笑顔の奴の隣な」
ちょっと不安になってると担任がかったるそうに席を指した。
教師として生徒を気持ち悪いとか言うのはどうかと思うな、俺。
それにそんな奴の隣に誰が行きたいと「早く座れ」
「うっす」
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