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「食堂っていつもこんなんなのか?」
「こんなんこんなん。今度から耳栓とかを持ってくんのをオススメする!」
「俺、オムライス食いたい!!」
「うーん、僕はビーフシチューにしようかな…九条くんと香坂くんは?」
「そーだな…んじゃ、ナポリタンといちごパフェ」
「俺はスタミナ焼肉定食で!」
「わかった、じゃあ頼むね」
「さんきゅ、風見」
風見って見た目だけじゃなくて中身も爽やかで人当たりいいのな、尊敬するわ。
「お待たせ致しました」
適当に駄弁っていれば、爽やかスマイルを浮かべたウェイターがテーブル付近に近づいてきた。
その両手にはそれぞれが頼んだ料理。
ナポリタンといちごパフェをテーブルに下ろされる際に軽く手をあげ「俺です、あざっす」と言うとウェイターは驚いたような顔をしてから営業スマイルではない微笑みをして、俺の前にナポリタンとパフェを置いた。
なぜだか少しだけ機嫌良さそうに持ち場へと戻っていくその姿に首を傾げていると、隣から小さい悲鳴が上がる。
「まさかの非王道! キャッキャッ!」
凪がまた何かを話しながらも最後の方にはすんっと真顔になっていたが、大分慣れたのでスルーしてマスクを外した。
「いただきます……んまっ」
「おぉ! すげー美味いな!!」
「あっ香坂くん、口元についてるよ」
「ん? まじ?…取れたか?」
「えと、真ん中より右寄りの唇の方と唇じゃない方の間の…ところ?」
あまり説明の下手さに吹き出しそうになるが、一生懸命うーんうーんと唸りながらもどかしそうに説明をする風見に少しだけ和む。
「風見クンよ、そこは取ってあげなよ。ほら!」
ぽんと風見の肩に手を置いたかと思えば、何故か興奮しながらカメラを構え始める凪を冷めた目で見つめる。
なにやってんだコイツ。
「うん、そうだね」
説明するよりも手っ取り早いと感じたのか、風見は凪の言葉を真に受けるとずいっと身を乗り出し右手を俺の唇に近づけてきた。
「え、や、大丈夫だって。俺取れるし」
取ってくれようとしてくれんのは有難い。
けどさ、唇ってか特に口内が弱いんだよな俺。はは。
や、笑えねーって誰得だコレ。
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