4人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、目当ての扉を開け放つ。
中には初老の研究者と、同僚である女研究者が居た。
思い詰めた表情をしている。
オレはモニターを眺める。
モニターでは被験体28番が、また一人、誰かを殺した所だった。
所員達は、名札に生体反応を示すプレートをつけていて、誰がどこに居るかモニターに緑の点で示している。
点はおよそ50ぐらいしかない。
半数以上はヤツに殺られたらしい。
「状況は?」
オレは息を整えながら言う。
「最悪だわ。今所内全ての防火扉を閉めているけど、ヤツのスピードは止まらないわ」
「まだ中に残っているやつは、どうするんだ?」
女は肩を竦めただけで、何も言わなかった。
「あそこまで圧倒的な力を持っているとは計算外だった。ヤツめ、実験の時に手を抜いていたな」
初老の男が言う。
「応援は?」
「今警備が行っている。射殺もやむなしと伝えているわ」
「オレが見た限りでは、拳銃ぐらいじゃ当たっていないのと同じだぞ」
体感では、ヤツを止めるには戦車ぐらい必要だろう。
大袈裟ではなく、そう感じた。
最初のコメントを投稿しよう!