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「首輪はどうした?」
ヤツの首には暴走した際に止めるよう、6000万ボルトの電撃が出る首輪をしているはずだ。
「そんなもの、外に出てすぐに千切られたわ」
「出る前に何度が起動したんじゃが、気絶させるまでには至らなかった」
女と初老の研究者は、遠い目をしている。
少し目を離した隙に、モニターの点が30前後まで減っている。
この短時間で、20人以上もの人間が死んでいる。
モニターの中の28番は、必死に命乞いをしていている、白衣のヤツを無慈悲にも踏み潰した所だった。
また、点が減る。
クソ。
「被験体25番~33番はどうした? こういう時の為に、ヤツらがいるんだろ?」
女は無言で別のモニターをつける。
画面の中では、28番が次々と被験体を潰していく様が映しだされていた。
ある者は爪で顔面を抉りとられ、ある者は食い散らかされ、ある者はレーザーで焼かれた後に背骨を折られ、次々と画面の中を血で染め上げていく。
ヤツは淡々と抹殺していくだけだ。
「クソ、もういい」
モニターの点は15に減っている。
ヤツは着々と所内の人間を抹殺する事に成功している。
思った通り、警備はクソ程の役にたっていなかった。
弾丸がいくら当たっても、表面すら傷つけていない。
ヤツは紙を破るかのように、警備の者を引きちぎっていく。
このままでは、すぐにこの部屋へも辿り着いてしまう。
焦っても、何も良い手は思い付かない。
何でココに来て、いきなり暴走を始めるんだ?
今まで大人しく実験に協力していただろ?
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