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第3話 変わる日の始まり
早起きの土曜日。今日も昨日から二連続でバイトに行く日だった。寝覚めがよろしくないタイプの和男は引きずるように体を動かして洗面台へ向かう。
水では少し冷たく感じる季節の朝、入念に目が覚めるまで顔を洗う。蛇口から流れてくる水を手に溜めてわ、肌に擦りこんだ。――タオルで水を吹けばようやく大きなあくびが出て、起きたという感覚がする。
外へ出る準備なら何よりもまず、着替えならぬ体替えをしなければ。今日はバイトなので女の体へ、慣れた手つきで鈴を耳元で鳴らせば和男は和美へと姿を変える――。
そして、次に行うのが化粧。男であればほぼ行うことのない朝の準備だ。
女になることで耳にかからないくらいの短髪から肩に届くほどまで伸びた髪、和美はそれを耳にかけた。部屋の端っこにある引き出しから化粧箱を取り出すと机の前に座る。
動画サイトで「化粧 簡単」と検索して、一番上に出てきた動画で紹介されていた商品を全部買った。化粧箱に入っている物は名前も覚えていなければ効果もよく分かっていないけれど。
白くて丸いケースのクリームから顔に塗っていく、使い方もメイク動画で学んだ。手に伸ばして顔に張り付いたクリームはすぐに染み込んでいった。この最初にするやつは、なんとなく肌が喜んでいる気がするしすーすーして気持ちが良い。
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