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此処の神社は参拝する拝殿の奥から、そのまま御神体のある本殿へと繋がっていた。
本殿の赤い木の扉は閉められているものの、鍵はかかってはいない。
神様っぽいものが言うように、忍び込むような輩はこの辺りにはいないからだろう。
扉を開ける前、壱花は本殿に向かって手を叩く。
「なにしてるんだ?」
と倫太郎に問われた。
「いえ、扉を開けて進入する前に、失礼します、と詫びてるんです」
そう壱花が言うと、倫太郎は無言で壱花の後ろにいる神様っぽいものを見た。
……そういや、中身は後ろにいたな、と思い、彼を拝んでみたが。
「いや、いい」
と目をそらして言ってくる。
「では、今まで此処を守ってこられた村の人々に」
と言って壱花はもう一度、本殿を拝み、扉を開けた。
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