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うむ、と神様っぽいものは神妙な顔で頷いた。
それを取るとき、手にわずかに埃が触れたが、そんなに降り積もっているようには感じなかった。
そして、どう見ても、この埃はケセランパサランではない……。
そんなことを考えながら、壱花は苦しむ。
「どうした、壱花」
うぐぐっという顔をして、中の箱を手にする壱花に倫太郎が訊いてきた。
「いえ。
神棚の掃除をするときとか、ご神体であるお札に息がかかるとご無礼になるとおばあちゃんが言ってたのを思い出して」
息を止めてみました、と箱から顔を背けて言ってみたのだが。
神様っぽいものには、
「お前は阿呆か。
こんなところで死ぬ方がご無礼だ」
と言われ、倫太郎には、
「そうだぞ。
こんなところに死体を放って帰られたら、神域が穢れるだろうが」
と言われる。
……いや、なんで私、此処に投げ捨てて帰られる設定なんですかね?
と思いながら、壱花はその箱の前面の板を引き抜いた。
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