神社のあやかし

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「それに比べて、私は人同様の生活をしているだけで、特に誰かの役に立っているわけでもない。  みなには遠くに息子たちがいると言っていたが、突然、この世に生じた私に親族などいない。  すっと消えて生まれ変わってみるのもいいかと思ったのだが」 と言う美園に壱花は言う。 「美園さんは役に立ってますよ。  あ、役に立ってるっていうのも変ですけど。  みんなを明るくしてくれるし、私に名前をくれたし」 「そうです。  壱花が化け化けなおかげで、俺も少し駄菓子屋の仕事が楽になりましたし」 と美園さんのためにかもしれないが、倫太郎が滅多に言わないようなことを言ってくれる。 「おばあちゃん、美園さん来なくて寂しがってますよ。  ……でも、美園さんが生まれ変わりたいのなら、止める権利は我々にはないですけど」 と言うと、美園は少し考えている風ではあった。  憑いている物が壊れたのなら、すっぱり生まれ変わろうというのは、如何(いか)にも美園らしい発想だが。  やはり、不安もあったのだろう。
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