神社のあやかし

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「付喪神というのは、長く大事にされてきた物に宿る魂だ。  私は此処に捨てられたが、通りかかる者たちに拝まれ、付喪神となった。  だが、その本体が割れた以上、此処にとどまるのも(いさぎよ)くない気がしてな」  美園がそんな話をしている間、倫太郎は木の根元にしゃがみ、なにかしていた。 「直りましたよ」  立ち上がった倫太郎が美園に向かい、急須を突き出す。  美園の急須は黄色のマスキングテープでぐるぐる巻きにされていた。  倫太郎が、メモに印をつけるために持っているテープだ。 「……警察が張る、立ち入り禁止のあれみたいになってますけど」 と壱花は呟く。  っていうか、社長……。  せめて、接着剤で……と思ったが、まあ、そんなもの持ち歩いている人間はなかなかいない。  これが精一杯の修復方法だったのだろう。  美園は、かえって無様になってしまったおのれの姿を見下ろしていたが、やがて笑い出した。
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