アタック

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「矢田さんは、学生の頃、何かスポーツとかしてたの?」  聡史は気になっていたことを聞いてみた。 「私、中学生の頃はソフトボール部に所属していたの。でも高校では違うことに挑戦したいと思って、バトミントン部に入って。どちらかと言えば、頭で考えるよりも、こうやって身体を動かす方が好きかな」  聡史の思った通り、運動経験者だった。社会人になってからは、時々マラソン大会に出たりもしていたらしい。なるほど、だから足腰が強いのか。聡史は1人で納得していた。 「鈴木さんは何をしてたんですか?」  聡史は昔陸上部で中距離の選手だったことを話した。しかし今は全く走っておらず、山登りだけが運動習慣であることも告げた。 「好きでいろいろ登ってるけど…山登りは素人なんだ」  聡史は頭を掻きながら答えた。 「でも経験豊富だから…とても頼りになります」  保奈美は笑顔で言った。  人をエスコートできるほどの実力が自分にはあるのか?保奈美の言葉を聞いて、聡史はそう感じた。いや、そうならなければならない。これから保奈美と登り続けるためには。聡史は新たな決意を抱いた。
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