アタック

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 新緑美しい草原をおしゃべりしながら進んだ2人は、森林の中へと入って行った。景色は一変し、周りは杉の木をはじめ、様々な木々が2人の囲った。少し薄暗くなった周囲には、木々から差し込む木漏れ日が見れた。2人は木々の間をゆっくりと進んだ。  すると目の前に長い階段が現れた。階段は丸太で形作られており、上を見上げると、かなりの傾斜だった。すでに何人もの方が登っていたが、途中で休憩している人もしばしば見受けられ、ここも難所の1つだということが分かった。  聡史はゆっくりと階段を上り始めた。それに合わせて、保奈美も後ろから付いてくる。2人は無言のまま、1段ずつ丸太を踏みしめて登った。中腹に差し掛かり、一息。保奈美を見ると、さすがに息が上がっていた。 「ふーっ。やっと山登りらしくなってきたね」  笑顔でそう答えると、額の汗を拭った。2人は水分補給をして、残りの階段を慎重に登った。別に競争している訳ではないが、周りの人よりも速く、ぐんぐんと追い抜いていた。 「やっぱり若い人は違うわね」  4名のおばさん集団を追い抜いたとき、60代くらいのおばさんが2人を見て、笑顔でつぶやいた。2人は笑顔で一礼して、先へと進んだ。  俺たちもあれくらいになったとき、山に登ってるのかな?聡史は密かにそんなことを思いながら、歩を進めた。
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