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休憩後、草原の景色を横目に2人は先へと進んだ。
草原の景色からまた林の中へと進み、そこを抜けると大きな坂が見えてきた。
「あれが頂上だよ」
頂上手前には最後の急登が立ちはだかっていた。
その麓で少し休憩を取って、いよいよ頂上に向けて、最後の急登に挑んだ。
「よーし、頑張るぞ!」
保奈美は気合を入れ直し、意気揚々と最後の急登を登り始めた。
ゴール地点が見えると、人はどうやら張り切るようだ。
それは聡史も同じだったが、かと言って急ぎ過ぎないよう、今までよりもゆっくりとしたペースで進んだ。
最後の急登はなかなかの傾斜で、時折立ち止まっては息を整えながら進んだ。
後ろを振り返ると、今まで辿ってきた道がはるか遠くに見える。
自分たちが高いところまで来たのが実感できたし、1歩1歩踏みしめていけば、必ず頂上に辿りつけるという自信にも繋がった。
それは保奈美も同じらしく、後ろの景色を見るたびに感慨深くため息をついていた。
先を進む聡史は後ろを付いてくる保奈美を確認しながら、慎重に進んだ。
大きな段差のある個所は、手を差し伸べて保奈美を上から引っ張った。
「ありがとう」
保奈美は笑顔でそう言って、再び山頂へ向け歩を進めた。
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