アタック

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 2人は頂上の標識から少し離れた窪みに移動し、聡史はザックからレジャーシートを取り出した。  2人はそこに腰を下ろして、昼食を摂ることにした。山頂は少し肌寒かったが、たった今急登を登りきった2人にはちょうど良かった。 「鈴木さん、良かったらこれ一緒に…」  保奈美が差し出したのは、手作りの弁当だった。ウインナーや卵焼き、サニーレタスにトマトなど、色とりどりのおかずがたくさん詰まっていた。  聡史はコンビニで買ったおにぎりしか持っておらず、そのお弁当に驚いた。こんな彩りある弁当を山頂で食べるのは初めてだった。 「うわ!ありがとう!じゃ俺も…」  聡史はザックからガスバーナーを取り出し、湯を沸かし始めた。そして、コンビニで買ったインスタントのスープを取り出した。 「クリームシチューとコーンスープなんだけど、どっちがいい?」  これには保奈美も驚いていた。山頂で暖かい物をいただけることが、とてもありがたかった。  保奈美は礼を言うと、クリームシチューを選んだ。
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