アタック

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 下山は来た道をそのまま戻った。しかし、下りの方が下肢には負担がかかる。  そのことに気を付けながら、聡史は歩幅を狭く、急ぐことなく慎重に下った。保奈美もしっかりとついて来たので、登りよりもかなり早い時間で下山することができた。  下りて靴を履きかえると、車で近くの温泉に向かった。登山で疲れた身体に、地元の温泉はこの上ない癒しを与えてくれた。  露天風呂からはさっき登った麦岳が見える。今日は最高の1日だった。聡史は肩まで湯に浸かりながら、そんなことを思った。 「今日はありがとうございました。本当に楽しかったです!」  アパートまで送り見送ろうとした時、保奈美はそう言って頭を深々と下げた。 「いや、俺の方こそありがとう。こんな充実した山登りは初めてだったよ」  聡史も車を下りて、礼を言った。 「鈴木さん…もし良かったら、また連れていってくれますか?」 「もちろん!こちらこそ、お願いします。あの卵焼きは最高でした」  聡史が間髪入れずに笑顔でそう言うと、保奈美は照れくさそうに笑った。 「今日は足が筋肉痛になるかもしれないから、しっかりと揉みほぐした方がいいよ」  そう言って聡史は車に乗り込み、保奈美に手を上げて自分のアパートへと向かった。  保奈美も大きく手を振って、自分のアパートに向かうため階段を上った。  少々足が重たかった。
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