スタート

1/8
前へ
/88ページ
次へ

スタート

「なぁ鈴木。ちょっと話があるんだけど…」  職場で帰る準備をしていると、同僚の近藤から声を掛けられた。  近藤は聡史と同期入社で、職場ではいつもよき相談相手だった。 「今度、俺の大学の時の友達と合コンがあるんだ。お前も一緒に来ないか?男の人数が揃わなくて」  合コンか…。正直そういうのは苦手だった。  恋人のいた時期もあったが、今は恋人よりも山登りの方が忙しく、そちらの方には全く意識が向かなかった。それに見知らぬ相手とどんな話をしたらよいか、聡史は考えるだけで緊張した。 「なぁ、頼むよ。たまには山じゃなくて、呑み会に行くのもいいリフレッシュになるぞー」 「…そうだな。分かった。参加させてもらうよ」  聡史の前で両手を合わせる近藤を見て、聡史は戸惑いながらも、その申し出を受けた。 「ありがとう!じゃぁ今週の金曜日の夜は空けといてな」  そういうと、近藤は笑顔で自分のデスクに戻っていった。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加