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次の章には、リムを利用する際の注意事項が山程記載されていた。
正人がまず注目したのが、゛罰則゛とうたわれている段で、誤った使用をした者には命をもって償ってもらう、という記載だった。
誤った使用とは前述の条件やルールの違反のことを指すのだろう。
正人が驚いたのが、命をもって償うという、その方法だ。
リムのメカニズムの説明にも係るが、死者を蘇らせるには、蘇らせた者を引き取る責任者が必要であり、その責任者の情報をリムに登録する必要があった。
それは、氏名や住所などの基本情報だけでなく、その者の遺伝子情報も必要であるということ。
そして、その命で償う方法というのが、強制的に脳の機能を停止させ、それは心臓や肺の機能の停止につながり、死に至るという内容だった。
その強制的に脳の機能を停止させるメカニズムは、難しい言葉や内容であったが、要約すると呪いのメカニズムを踏襲するものとの記載があった。
また、人間のみでなく動物を含む尊い生命を決して弄ぶことのないように仕組まれた機能であるという一文が目立つ書体で書かれていた。
正人は呪いのメカニズムというのはわからないが、先日死刑囚となった桐生朱美の呪い事件の方法とリンクしているのだろうと感じた。
そして、死刑によって死んでいく人間の技術を、逆に人間を生き返らせる技術に活用するとは、それこそ人間味がないのではないかとも思った。
条件にあった死刑による死者を蘇らせることはできないという条件は、きっと桐生朱美個人を生き返らせることはできないに読み替えてよいのだろう。
それは、このリムが搭載している技術について、オリジナルである桐生朱美を口封じするための条件なんだろうと考え、少し桐生朱美が気の毒にも思えた。
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