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 凰花から少し距離を取って布団に入っている咲久良に凰花が声をかけた。 「咲久良さん、なんでそんな離れてんの。  もっとこっち来て」 「い、いや、僕寝相悪いから離れてた方がいいよっ」 「ふーん」 「ちょっ、」  自分から寄ってこないのを悟ると、凰花は自ら咲久良に身体を寄せた。  そして、咲久良の腰に腕を回し、ピッタリとくっつく。 もう片方の腕は咲久良の頭を撫でる。 「離れてたら意味ないじゃん。  冷房も効いてるし、くっついててもいいでしょ。  それとも、やっぱり離れた方がいい?」  あくまでも咲久良の意思を尊重する為に問うが、咲久良の口からこの状況を肯定させたいというのが大きかった。  すると、咲久良は「うぅ……」と小さく唸り、耳を赤く染めると、「……このまま、くっついてたい」とボソリと呟いた。そして恥ずかしいのか布団を手繰り寄せて顔を埋める。  照れている姿に身悶えしたいほど愛らしさを感じる凰花は、「よかった」とわざとらしく耳元で囁いた。  すると、「ひゃっ……」と小さく嬌声をあげて身体を跳ねさせる咲久良の姿に、凰花は身体が熱くなるのを感じた。
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