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アラームが鳴るより先に目を覚ますとシャワーを浴び、普段着に着替えた。
ジーンズにTシャツ。とてもホストとは思えない服装だが、これが本来の咲久良の姿だった。
そして向かったのは大学病院の血液内科の病棟。
病室に入る前に手を洗い、マスクをする。
そして声をかけて病室に入った。
「お母さん」
ベッドの上のその人に声をかけると、「はあい」と呑気な返事が聞こえた。
「調子、どう?」
「うん、今日はね、まあまあだよ。相変わらず白血球は少ないけどね」
そう返事したのは、咲久良の母、百合だった。
百合は白血病で入院しているのだ。
高齢での白血病は治りにくく、しかも百合の白血病は特殊なもので完治が難しい。
もう何年も、この病室と自宅を行き来していた。
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