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 凰花をソファに運び込んだ頃には、咲久良は汗だくになっていた。 「僕、シャワー浴びてくるね。  ここにお水置いとくから、飲みたかったら飲んでね」  そう言い残して急ぎ足でバスルームに向かった。  咲久良は緊張をなんとか鎮めようと身体を一生懸命擦り、熱いシャワーを浴びる。  不可抗力とはいえ、彼をプライベートで家に入れたのは初めて。特に何かが起こるわけではないと分かっているのにどぎまぎしてしまう。  どうしよう……ないとは思う、ないと分かってるけど……。  もしも何かあった時のために、と散々迷った挙句、後ろの準備を済ませてしまった。  まるで自分が彼に抱かれることを望んでいるようでとてつもなく恥じらいを覚えながら着替えてリビングに戻ると、凰花はまだ横になっていた。 「凰花くん、大丈夫?水飲む?」  彼の側にしゃがみ声をかけると、「飲む」と小さい声で返事があった。 「身体、起こせる?」 「……んー、」  なんとか支えながら上半身を起こすと、ペットボトルのキャップを開けて彼に渡そうとした。  がしかし、手に力が入らないのか、スルッと手から滑り落ちそうで、彼の手の上から自分の手を重ね合わせ、口元に運んだ。
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