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咲久良に迷惑をかけたお詫びとお礼を兼ねて、咲久良を抱くと言っているのだろう。
しかし、そういう展開のために準備したわけじゃない。想像していたものと大きく異なったため、咲久良は戸惑っていた。
……お詫びとか、お礼とかそういう理由で抱かれたくない。
そう思うと、咲久良は一生懸命抵抗した。
身体を捩り、凰花の身体を押し返していると、普段のように従順でない咲久良に疑問を抱きながら、嫌がられることに凰花は少し苛立った。
「……なんで嫌がんの?お礼なのに」
「……そんなの……いらないよ。上から退いてほしい……」
咲久良の台詞に凰花はやっと我に返り、すぐに上から退いた。
距離を取ってから、咲久良に向かって頭を上げた。
「ごめん、咲久良さん。俺、めちゃくちゃ嫌な感じだった。ほんとごめん」
「大丈夫だよ、酔ってるんだろうし……。
帰ってゆっくり休んだ方がいいんじゃないかな……」
これ以上今は一緒に居たくない、という意味を込めて遠回しに帰ることを勧めた。
「……ほんと、ごめん。すぐ帰る」
そういうと、凰花は服をすぐに纏い荷物を持って出て行こうとする。咲久良はそれを無視してじっと彼が帰るのを待つ。
リビングを出る前、「今日はほんとごめん。でも、楽しかったし、許してくれるならまた……」その先は言うのをやめたのか、静かに出て行った。
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