僕とキミと写真と虹と、時々サボテン。

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僕とキミと写真と虹と、時々サボテン。

「虹の中って、どんな世界に見えると思う?」  そう言って笑った君の横顔が眩しくて綺麗だった。  この笑顔をずっと見ていたいと、思った。  この笑顔を、僕が守ろうと思った。  それなのに、  泣かせたのは僕だった。  笑顔を奪ったのも僕だった。  だから、  さよならをしよう。  君の笑顔のために。  君が笑顔を取り戻すために。  そう思いながら仕事に追われる日々だったけど。  何の前触れも無く、君は僕の目の前から消えた。  偶然に出会った僕らは、  必然のように互いを好きになり、  遠距離だった日々を超えて、  三年前に、この街で一緒に暮らし始めた。  幸せだった毎日も、二人で過ごす時間が長くなれば長くなるほど、当たり前の事だがお互い色々な面も見えてくる。  相手の良いところも、嫌なところも全てまとめてその存在を受け止める事も今の僕には出来ずにいて。  いつの間にか、毎日まいにち、ささいな事で喧嘩ばかりして、僕は、目の前に幸せがあるってことに気がつこうともしていなかった。  だから、  こんなはずじゃなかった。  こんな喧嘩ばかりするはずじゃなかった。  ああ、僕たちははもう駄目か、なんて。  自分を振り返ることもしないまま、自分勝手に諦めて、そう思っていた矢先に。  君は突然いなくなった。  今、思い返せば君が居なくなった当日。  その前日の夜も、小さな事で喧嘩をした。  ここ最近は、一種の日課にでもなったかのような、他愛もない、言いあらそい。  最初の頃の口喧嘩とは違い、日に日に反論をしなくなる君に、僕は特に何も思わなかった。  僕の何倍も頭の回転が速い君が、僕の言葉じりを拾えないなんて、落ち着いて考えれば可笑しな事だったはずなのに。  いつもの朝ごはんに、なんら当たりさわりの無い、いつもの会話。 「行ってらっしゃい」  いつものように、玄関で見送ってくれる君に、小さく手を振りながらバイクでその日の打ち合わせ場所へと向かった。  疲れた身体をどうにかこうにか家へ連れ帰っても君は居なくて、冷蔵庫に入っていた「今日の夕食」とだけ書かれた夕食を食べた事は、今も覚えている。  けれど、あの時から2、3週間経った今、あの日の記憶は曖昧なものになってしまっている。  ふらりと一人旅に行くこともあった彼女が、旅の一貫として、いつも、旅先の現地から葉書を送ってくる。  けれど、今回は彼女がここを出発して、何日も経っているのに、旅先からの葉書が来ないことに、一瞬、不審に思った。  けれど、最近は頻繁に喧嘩をしているし、旅の便りはもう来ない可能性もある。  一人そう考え、自己解決をし、今抱えてる仕事を片付けなければ、と便りがないことを、深く考えもせずに、僕はその日からの数日を過ごした。  僕の仕事は、風景写真カメラマンだ。  周りの皆のおかげもあって、大きな個展は開けなくても、これまでにも何度か個展を開催できているし、年間を通して仕事が途切れることも無い。  生活に困らない程度に細々と稼いでいる。  ただ、何故だか彼女が帰らなくなった時期に重なって、少しずつ忙しくなっていた日々を何とかやり過ごし、久々にできた休みの日。  疲れた身体を引き摺って、リビングのソファで休んでたら、ばたんっ、という音が玄関から聞こえた。 「やっと帰ってきたのか」  そう思うと同時に、何故だか急に少し苛々しながら玄関に行けば、そこにはいつもふらりと我が家に遊びにきては来ては彼女と戯れていた三毛猫の姿。 「ニャー」と僕の姿を見ながら三毛猫が鳴く。 「ごめんな。あいつ居ないんだよ」  猫を撫でながらいえば、三毛猫は不思議そうに首傾げた。 「………居ない…居ないん、だ、よ」  声に出した今、初めて、何かが、何処かに引っ掛かる。  その時、ふいに、携帯電話が着信を告げ、僕は相手を確認しないで電話に出た。 「もしもし?」 「何だ、お前か。どうした?」 「何じゃないわよ、家の電話に何回かけても誰も出ないし、あの子の電話も繋がらないし。心配になってあんたの携帯にかけたんじゃない!」  着信に出るなり早口で捲くし立てる友人に少し驚くが、それ以上に友人が告げた言葉でさらに驚き、携帯を落としそうになる。 「ちょっと、聞いてんの?!」  ずる、と手から滑り落ちかけた携帯を再度持ち直し、電話越しに怒っている友人の声に答える。 「あいつ、電話が繋がらないのか?」  友人の言葉に、自分が話した言葉に、驚きが隠せなくなる。  そうなのか、と呟く僕に、「あんたまさか」と電話の向こうの友人は少し低めの声を出した。 「連絡してないとか言うんじゃないでしょうね?」 「……」  沈黙で返事を返した僕に、電話越しの友人は明らかなため息をついた。 「心配じゃないの?!」 「……いつもみたいにふらっとどっか行ってるだけだろ?」 「……そう? それだけなら別に良いけど」  声を荒げた後、投げやりに言った僕の言葉に、棘のある言い方をして、友人は言い放つ。  その言葉に少しムッときた僕の声は自然と不機嫌なものになる。 「その割には何か言いたげに聞こえるけど」 「別に。あんたにとってはそんなものなのかって思っただけよ」 「は? いつもの事だろ。あいつが連絡無しに出かけるのなんて」  売り言葉に買い言葉、という表現がぴったりなくらい、電話を介して二人とも苛々しながら会話を続け、最終的に、友人は『もういい』と短い言葉だけを僕に投げつける。 「……何だよそれ」  僕の答えが気に食わなかったらしく、友人は、「話にならない。帰ってきたら連絡するように言っておいて!」とだけ言って一方的に電話を切った。  プー、プー、と終話音が耳に響く。  音信不通という事に確かに驚きはしたが、だから何だというのだ。いつもの1人旅だろう。  切れてしまった電話に向かって声に出さずに反論をする。  突然電話をしてきて、突然怒り出し、一方的にさっさと会話を終わらせた友人に、苛立ちを覚え、自分だってかなり疲れているのだ、と一人呟いて、もう一度ソファへ身体を沈める。  だが、何故か友人のたった一言だけが、耳に残っている。  -電話、繋がらないの!  いつもの事じゃないか、と思う。  電話が苦手な彼女は、メールも滅多に使わないし、電話だって必要最低限な事でしか使わない。  持って歩かない事もしょっちゅうだったし、最近やっと持って出かけているだけでも、進歩していたと僕は思う。  少しずつ君のいない毎日に慣れていた僕は、久々に聞いた君の話に、ほんの少しだけ、違和感を覚えた。  何かが違うと僕の中で、誰かが主張している。  ぽっかりと空いたまま埋まらないままの心の隙間。  久々にゆっくりと食べた食事には、美味しさが感じられない。  温かいはずなのに、どこか冷えているような感覚さえもしてくる。  君が作るご飯は、いつも温かくて美味しかった。  それは、只の温度の話じゃ、無い。  そうやって自覚した途端、箸がピタリと止まった。  今しがた友人から言われたことを改めて思い出し、彼女が居なくなってから初めて彼女の携帯電話にかける。 「現在、お客様のご希望によりお止めしております」  彼女の電話番号にかけたはずなのに、機械的な音声だけが聞こえ、彼女の声は聞こえない。  仕事が忙しいと考えることを後回しにしていた。いつものように、ふらっと帰ってくるだろうという考えだけを疑わずに、深く考えることを止めていた。  最近は喧嘩ばかりの毎日で気持ちも滅入ってたしと、まるで言い訳のように呟きながら、毎日まいにち、自分の音しかしないこの家に、本当はずっと、感じていたのだろう。  いつもと違う状況だということを。  ただ、何かと理由をつけて誤魔化していたのだ。  ただ、それを認めたくなかったのだ。  君の帰る場所はここだ、ここしか無いのだ、と驕っていたのだ。  結局は甘えていたのだ。  変わっていった僕の傍に、変わらずに傍にいてくれていた君に。  何も言わなくなった君に。  窓から見えるのは、へたくそな干し方の自分の服。  アイロンがけされてない皺くちゃなシャツ。  台所に並んだ空き缶たち。  どことなく元気が無い室内にある植物たち。  彼女が突然買ってきた百貨店の屋上遊園地にあったようなパンダの椅子やどこの国の人だか不明な人物の肖像画。 『今日、猫を買ってくる!』と言って出て行ったはずなのに、買って帰ってきた植木とサボテンの数々。 『猫も可愛かったんだけど、この子達可愛くってさ!』  ケラケラ笑いながら、君は細い指でまだ小さかった植木の葉を優しく触っていた。 『大きくなったら春に、花が咲くんだって!』  そう言って庭の片隅に植えていた背中はいつまで経っても楽しそうだった。  家のあちこちにある彼女の痕跡。  1つ1つ触れて歩けば、彼女との記憶も1つずつ蘇る。  くだらない事で笑いすぎて涙を浮かべていたり。  シャツのアイロンがけが上手くできた!としつこい位に自慢してきたり。  悲しい映画を見て、泣き過ぎて目が真っ赤になっていたり。  テレビで見た食べ物が食べたい!と次の日に突然、その場所へ旅に出たり。  庭に植え名前をつけた植物に話しかけ続けたり。  初めて君と、この家に来た時のことも思い出した。  目玉焼きには醤油か塩かで喧嘩した二人で暮らし始めた初めての朝。  最後にした喧嘩の内容。  君に初めて出会った時の事も。  君を好きになった時の事も。  思い出すことは山ほどある。  だけど、今、君を思う気持ちは、あの頃とは確実に変わっている。  慣れや執着もあるけれど、それだけではない感情。  君に呼ばれる感覚も、君の名を呼ぶ感覚も、心の中に広がる感覚は、あの頃とは違う。  ふと、リビングにある写真立てに僕の視線が止まる。  初めて2人で住み始めた頃に撮った、1枚の写真。  滅多に写真に写りたがらない君が写っているなかなか貴重な笑顔の写真。 『時々居なくなった時、楽しかった時の事を、思い出してもらえるように』  その時は、何の事を言いたかったのか、よくわからないでいたけれど。  君は、予想していたのかも、知れない。  こんな事が起こることも。 『それでも思い出せなかったら、名前を呼んでね』 『君のところに帰るよ!』  そう言って笑っていた君が、君の笑顔がはっきりと目に浮かぶ。  まるで、今も自宅に隠れている気さえもしてきて、ひょっこり出てくるんじゃないかとさえ思い始めて、抱えていた頭をあげて、家の中を探してしまうけれど、君はいない。 「    」  ふとした瞬間。  もうすっかり違和感の無い、まるで口癖のように呼べる君の名前。  居ないはずなのに、すぐ近くに居るように思えてしまう程、長い間、君は僕の近くにいた。  いや、違う。  居たんじゃない。  居てくれてたんだ。  それなのに。  僕は。  ぐるりと室内を見れば、僕が撮った写真が、何十枚と壁に、棚に、テーブルに貼り付けてある。  冷蔵庫のドアや、冷蔵庫の中にも。  近所の神社に、よく晴れた空。曇り空から降りる太陽の光に、いつだかの梅雨空。 「全然、気づかなかった」  そこらじゅうに、自分の写真が置かれている。 「ここも、あと一ヶ月くらいで、夏の準備を始めるのかな」 『スキー場で食べるラーメンと、海辺で食べる焼きそばって、何でこんなに美味しいんだろうね!!』  青いかき氷を食べて、舌が青くなったとはしゃぎながら、焼きそばを食べていた君が、目に浮かぶ。  ふと。  目に入った、いくつかの写真。  これだけ沢山の写真がある中で、数枚だけが写真立てに入っている。  そのうちの一つは、とても見覚えのある虹の写真。 「これも、僕が撮ったやつ」  大きなアーチを描く虹の、袂を切り撮った写真。  その写真を見た彼女が、たった一度だけ、僕に話したのは、大好きだった伯父さんが開いていた海の家。  とうの昔に、閉めてしまって、今は別の人が経営しているみたいだ、とだけ言っていた。  そこがどこの県なのか、どこの浜辺なのか。なんていう店だったのか。  それすらも、僕は聞いていなかった。  いや、話してはくれていたのかもしれない。けれど、僕は、覚えても、いなかった。 「いつも、聞いてくれてたのにな」  いつも、些細なことも、覚えていてくれた。  考えれば考えれるほど、君のことを、僕は知らない気がしてくる。  けれど。  それでも。 「今は、会って話がしたい」  どんな結果になろうとも。  僕が望まぬ結果であっても。  君に会って、話したい。  何も掴めていない手のひらを握りしめ、小さく頷く。  伯父さんの海の家。  写真立ての写真。  彼女を見つけるヒントはそれなのだと。  なぜだかは分からないけど、そう思った。  けれどその写真もヒントにするにはだいぶ難しい。 「せめて何か……」  電信柱とか、信号機とか。  いくつかの写真を食い入るように見つめた何枚目かでやっと、一つのヒントを手に入れる。  カラフルな浮き輪に書かれた黒い大きな文字。  そこに書かれた文字は、「勝やま海水浴場」という文字。 「ここが伯父さんの店があったとこなら、いいんだけど」  インターネットで調べてみたら、どうやらこの勝やま海水浴場とやらは、僕たちのいる県よりも、少し東に位置している。  海に囲まれているその県を訪れたのは、僕は指折り数えるほどでしかない。 「ここ自体が海のある県だしなぁ…」  わざわざ行かなくても、と思った僕の腰はなかなかあがらず。彼女も彼女で、伯父さんが亡くなってからは足が遠のいていたと言っていた。 「これ、きっと、伯父さん、だよな」  写真立ての中の一枚、中年の男性と、中学生くらいの彼女が一緒に写ってる写真。二人とも、とてもいい笑顔を浮かべて、そこに立っている。  切り取られた一つの風景。  変わらない、思い出。  写真立てから抜き取る気になどなれず、僕は自分のカメラで、その写真を撮る。いくつかをそうしてカメラに収めたあと、僕は、一枚の写真を、彼女の部屋から持ち出した。  ナビに目的地を設定し、ただひたすらに、車を走らせる。  曇り空だった地元から、晴れ間の見える空の下を通り過ぎ、また曇り空になる。  朝一番に家を出たはずなのに、気づけばもう時刻は正午過ぎ。  何も考えずに出てきたけれど、本当に合っているのだろうか。  海水浴場、という看板を目にした僕の頭に、ふいにそんな思いがよぎっていく。  車のフロントガラスを濡らした小雨を弾くワイパーを見ながら、静かに首を横にふる。 「その時は、その時だな」  また、探せばいい。  それでも、どうしてもダメだったら。 「きっと、それは」  それが答えなのだろう。  そう思いながら、誰も居ない駐車場に、車を停める。 「雨、止みそうだな」  灰色の雲の隙間から、水色の空が見え隠れしている。  カメラと、カバンを肩から下げ、僕は車をあとにした。 「…………建物自体は同じなのか」  撮っておいた伯父さんの海の家と思しき店の前に立ち、実物と見比べる。  どうやら、次の店主は建て替えることなく、そのままを利用しているらしい。  ただ、さすがにまだ海開きすらしていないこの時期では、営業していない。 「まあ、そんなものだよな」  カシャ、と店の外観を写真におさめ、すぐ後ろの浜辺へと降りる。  ちら、と見上げた空は、山から海へと、太陽が照らしているのが見える。 「もしかしたら」 「虹、出るかもね」  突然きこえた声に、バッ、と勢いよく振り返れば、「やあ」と屈託の無い笑顔を浮かべながら、君が僕を見やる。 「びっくりしちゃった。何でここにいるの?」 「……何で、って…………君を、探しに」 「わたし?」  幾度かの瞬きをしたあと、「そっか」と静かに言う君に、言いしれぬ焦燥感が胸に広がる。 「あのさ、」 「ここはね、昔、伯父さんが虹の中に入った、って言ってた海なの」 「…………虹の中…………ああ、前に君が言ってた、」 「そう。だからわたしも、入ってみたくなっちゃって」 「それで、ここに?」 「そう。小さい頃、伯父さんのその話を聞いて、わたしずうっと伯父さんに、自分も虹の中に入りたいって言い続けたの。伯父さんだけずるい! わたしも入りたい! って」 「ずるい、って……」  彼女の言葉に、小さく呟いた僕に、彼女は「ね」と可笑しそうに笑う。 「でもね、キミも知ってのとおり、自然の虹は気まぐれで、しかも都合良くポンポンと出てくるかどうかも分からないでしょう? だからね、もし自分と同じように虹の中に入りたいんなら、いつか、一番大事な人と、ここで虹を見ろ、って伯父さんはわたしがごねる度にそう言ってたの」 「……そっか」  少しだけ開いた距離は、埋まらないまま。  彼女が歩けば、僕も歩いて、立ち止まれば、僕も止まる。 「でもね、ここにいる間には、大事な人はできなくて。そうこうしている間に、伯父さんは天国に旅立っちゃった」  眩しそうに、少し目を細めて彼女が見る視線の先には、伯父さんとの思い出の建物。 「キミと喧嘩をして、どうしたらいいのか分からなくなっちゃって。でもキミのこと、嫌いになんてなれないし、ならなかったし。でも、なんとなく、ぼんやりしながらキミの写真を見ている内に、ここを思い出してね。どうしても行きたくなった。だから、ここに来たの。ここに居たの」  そう言って、視線を僕に移した彼女の瞳には、じんわりと涙が溜まっている。 「やっぱりね、わたしは、キミが好き。どんな日だったとしても、キミと居たい」  僕から目をそらさずに言う彼女に、視界がぼやける。  これはきっと、霧雨が降っているせいだ。  そうに違いないと、半ば無理矢理にこじつけて見上げた顔には、もう雨粒は当たらない。  いつの間にか、薄い雲の切れ間からは、太陽の光が透け始めている。  これは、あと数分もしたら、太陽の光が空を青く染め上げるだろう。  バシャッ、という音がする。  音の方を見れば、波打ち際に立つキミが、僕を見てふわりと笑う。 「ねぇ、きっと、この砂浜に虹が出ると思うんだけど、キミはどう思う?」  気象予報士でも無いのに、キミは自信満々に言い切った。  そんなキミの言葉に、口許が緩む。 「だからさ」  そう言って、君が、僕に手を伸ばす。 「虹の中って、どんな世界だと思う? キミとなら見れると思うんだ」  答えの代わりに、僕は君に向けて、カシャッ、とシャッター音を鳴らした。
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