白い雪

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大神本社からの帰り、それから無言で運転していた仁の背中に殺気が走り、門の少し前で車を停めた。 「……奏」 「ああ、わかってる」 ふわりと、雪が舞う中、閉ざされた門の前に誰かが立っていた。 左脇の下に指を滑らし、その人影が妙な動きをしたらいつでも応戦できるように指先に力を込めた。 毅も同じく警戒しながら車を降りた。 仁がヘッドライトの明かりを上向きにすると眩しさにその人影が振り向いた。 大男かと思ったが、照らし出されたのは体の小さな女だった。 「こんな暗い夜に、……女?」 戸惑う俺と仁の脇を駆けて、その少女は真っ直ぐに毅の胸の中に飛び込んだ。
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