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「奏さん、ふたりがくっついてくれたらいいなって思って見てたんでしょう?」
「わかるか?」
「うん。そんな表情して見てたから」
「そうだな。毅には報われない恋をしてほしくない。あいつには穏やかな恋をしてほしい」
「そうだね、うん」
毅は口にしたことはないが、毅のひとつの恋は実らないまま終わった。
今度は実らない恋ではなく、実る恋をして欲しかった。
「……奏さん、雪だね」
「ああ」
「白くて優しい雪だね」
りおと見上げる、今年最後の……白い雪。
「来年、毅さんとしらゆきさんが一緒にこの雪を見れたらいいね」
「そうだな。見れたらいいな」
ふたりの赤い糸が繋がっていたらいい。
そう願った―――
【白い雪・完】
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