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「これは訓練では無い」
内閣危機管理監、星野の言葉で、危機管理センターは異様な雰囲気に包まれた。
総理大臣こそ出席していないが、防衛省、外務省、法務省、国土交通省の大臣、事務次官が全ての予定をキャンセルして出席しているほか、警察庁長官の姿も見える。星野の横には、官房長官と官房副長官補。
自衛隊からは特殊作戦群。群司令の山本と目が合った。スーツ姿の御木を見て鼻で笑う。警察庁長官の横に座るのは、SATとNBC対策部隊のようだ。
そして、部屋の隅では、場違いな中年男が項垂れていた。
星野が続ける。
「アフリカ南西部のロイドから、テロリストが入国した。名前はムテバ・バルボア。特殊なエボラ出血熱のウィルスを所持、列車の乗客を人質に取り、新潟から東京に向かっている」
正面のスクリーンに、愛嬌のある丸顔の黒人が大写しになった。
「我々に残された時間は、今から六時間だ」
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