圭一郎の鳥籠

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仮眠室は使用中の場合は他の人は入らない、というルールになっているし、内鍵を閉めることももちろんできる。 だから、外から珠月はノックした。 「珠月。」 腕を引かれて、中に入るとそのまま圭一郎に強く抱きしめられる。 そうして唇を奪うように重ねられた。 「ん……っ、圭一郎、さん……こんなところで、……。」 「大丈夫、誰も入ってこないよ。」 唇の角度を変えながら、何度も重ねられて、そんなことを囁かれる。 ドクターの休憩室は奥の方にあるので、それほど人は来ないだろうとはいえ、珠月にしてみたら、もしも誰か来たらどうしようと思うと、どきどきしてキスどころではない。 扉を挟んで一枚向こうは、もう廊下なのだ。 「入ってこないかもしれないけれど……でも……。」 そんな珠月の抵抗は抑えられて、強く抱きしめられて、何度も唇を重ねられた。 「珠月と10時間ぶりに会うんだ。無理だよ。それに、昨日は急患が重なって救急からの手術も入ったんだ。」 そういえば、と珠月が圭一郎の顔を見ると、確かに疲れているような気がする。 「圭一郎さん……寝ました?」 「いや。術後の経過も気になったからね。ほとんど寝ていない。そのまま日勤に入ってしまったからね。」
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