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「寝ましょう!」
珠月は慌てて、圭一郎を引き離そうとするが、圭一郎は揺るぎもしない。
「無理。珠月がここにいてくれないと寝れない。」
「ダメです!寝て。」
「いいよ?そこまで言うなら寝てあげる。でも、珠月が言うことを聞いてくれたらね。」
「何でも聞きますから。」
その瞬間、目が輝いたように見えたのは、気のせいだろうか。
北高会病院の受付の制服は、前がボタンになっている。
そのボタンを圭一郎は上から一つづつ外し始めた。
「っ……け、圭一郎さんっ?!」
「なに?」
「あの……ここは病院で……」
「だから?ああ、珠月が看病してくれる?」
「なに言ってるんですか。」
「珠月……」
圭一郎の甘えるような表情と、甘えるような声には、珠月は弱い。
背中を圭一郎の腕で支えられて、ふわりと胸に触れられた。
「や……んっ。」
「可愛い声。いやなの?珠月?」
珠月は必死で首を横に振る。
嫌ではない。
けれど、この状況ではなんだか、とてもどきどきするし。
「人が……来たら……」
「大丈夫。使用中になっていたら、誰も入ってこないよ。」
それに、珠月は知らないけれど、しっかり休むことができるように、仮眠室はかなり外の音を遮断出来るような設計になっている。
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