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「彼女があなたに対して引け目を感じて苦しんでいたとしてもですか?!」
「そんなもの。」
ふ……と鼻で圭一郎は笑う。
「勤めなんかしているからそんなことを感じて苦しむ。それが嫌なら、仕事なんてやめればいい。」
「あなたって人は……。」
「むしろ、俺は珠月には仕事なんて早く辞めてほしいって思っているよ。勤務なんてしているから、そんなことを考える。それに、君のような輩にも目をつけられるんだ。珠月は可愛いから、ドクターにも患者の中にも彼女に横恋慕するものが出てくるかもしれないしな。非常に不快だよ。誰にも見せたくないのに。」
春岡はその圭一郎の言い方にゾッとしたような表情になった。
「あなたのその執着……、珠月さんは知っているんですか?」
圭一郎は夢を見るような顔で、綺麗に笑った。
「もちろん。一旦は鳥籠に捕らえたからね。籠の中の珠月はあり得ないくらいに綺麗だったよ。君にも見せてあげたかったな。」
ああ……そんなことはできないか、そう言って圭一郎はくすくす笑う。
「あなたは……異常です……。」
「だとしても、君には関係ない。これは珠月と俺だけに理解できていればいいことだからな。」
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