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「ただいま。」
ぱたぱたとスリッパの音が部屋の奥から玄関に向かってくるのに、いつも圭一郎は幸せを感じる。
「おかえりなさい!お疲れ様です、圭一郎さん。」
いつ見ても、どこで見ても、珠月は綺麗だ。
「うん。」
きゅうっと抱きしめて、軽くキスをする。
その後の少し照れたような珠月の表情が見たくて。
そして、柔らかい珠月の唇を味わいたくて。
「珠月、春岡室長と話したよ。」
「あら、そうなのね?」
二人でダイニングに向かう。
ダイニングには今日も珠月が用意してくれた心尽くしの料理が並んでいる。
素朴な煮物や炒め物など、その家庭的な味が最近の圭一郎はお気に入りなのだ。
「あ、卵焼きがある。」
「少し甘めでよかったのよね?」
「うん。少し甘いのが好きだ。」
「私も少し甘めが好き。」
「一緒だね。」
圭一郎は早速、そのふんわりしていて、甘い卵焼きを口に入れると幸せな気持ちになった。
先日は、父が急に来たから、圭一郎の大好きなチキンソテーを分け合うことになってしまった。
父も珠月の料理が好きなので、たまにこっちに来て食事をしていったりする。
珠月には事前に来ることを伝えているようで、そんな時は珠月は余分に準備をしてくれているようだ。
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