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「まったく、も~~ 静夜君たら。
今日はどうしちゃったのよ?
あなたは、いつも、もっと頭を使ってお客に抱かれる子、よね?
セックスは『趣味』とか『気分転換』なんでしょ?
やろうと思えば、ペニスを挿入させなくても、ボディタッチと会話だけで、メーヌリスに恥じないお楽しみをお客さまにご提供できるクセに。
こんなハードにカラダ使ったら、命がいくつあっても足んないわよ?」
「ごめ………マダム」
キレイな水色の目を細め。
僕を眺めて、めっ、と怒るように睨んだのは、この高級娼館メーヌリスのオーナー、マダム・フ-ディエだ。
青く鮮やかな青髪を綺麗に巻き、頭には蝶々のカチューシャの迫力美人だけど、生まれた時は、女性じゃなかったヒトだ。
けれども、そんなことをを感じさせない、よね?
胸が大きく、ウェストの細くメリハリがしっかりあるカラダ。
そして、色っぽい姿は、この世界最高級を誇るメーヌリスのオーナーににふさわしい。
ロングドレスを着て、メーヌリスを歩く姿は、身につけた蝶々の装飾品を身にまとってなくとも、人々の間を優雅に舞う蝶に見える。
……のに。
僕のありさまを見て、心底心配してくれてるようだった。
いつも気丈で、完璧にキレイな頬笑みが、心配そうに曇らせていた。
「そもそも、メーヌリスに来る客は、この世界で一番満たされた富裕層ばかりよ?
キレイに、スマートに遊ぶのが常識なのに!
お風呂にも入らず、規定時間を超えて犯され続けるなんて考えられないわ。
どんなに飢えていても120分じゃ、せいぜい二回、頑張っても三回吐精が出来れば上等よね?
なのに、今日は何回犯されたの?
もしかして、静夜君。
……何かイケナイお薬でも使った?」
「別に、変なのを使ったつもりは、無いよ」
僕は、そう言って目を伏せたのに。
マダムは、くるくると、部屋を見回してすぐ何かに気がついたらしかった。
「あーーー」と叫んで、頬を膨らませ。
「全くもう!」と見つけたモノを指差した。
「ローション!
静夜君、今日は媚薬入りのローション、使ったでしょう!?」
確かに。
今日は、普段はあんまり使わない種類のヤツを、ブルーノの手元に置いたけどさ。
口の中でぶつぶつ言いわけをすれば、マダムは、「なにやってんのよ!」なんて騒ぐ。
マダムはが、心配してくれていのは、判ってたけど、僕も頬を膨らませた。
「そんなの……合法ドラッグの酒やタバコと同じ。
ちょっと気持ち良くなる成分が入ってるけどさ。
別に、世界で禁止されてる薬は、イッコも入ってない、マイルド・ローションじゃないか」
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