プロローグ~恋より刹那の快楽を~

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「……好き。  オレは……静夜が……好きだ……」 「……ブルーノ」 「ああ……ああ……愛してる……静夜……!」  ブルーノが紡ぐ言葉は、甘く。  僕を抱きしめる手が強かったのは、昔事故で無くしたっていう左腕を、本物そっくりのなめらかに動く、機械に変えたから……ではない。  視線は切なさを帯びていて、まるで、本当にブルーノは僕のことを好きなんじゃないか、って思えてくる。  ブルーノの、熱く強い……真剣なまなざしに、心までも貫かれ。  僕もブルーノのことを、本気で好き、だと。  恋に堕ちているんじゃないかって……錯覚しそうになる。  ……でも、ね。  僕たちは、お金で繋がった関係だから。  本物の恋愛感情なんて、可笑しいよね……?  それに僕は絶対に『恋』には『落ちない』。  ……堕ちてなんて、やらないって決めているんだ。  僕は、ふっと、灯りかけた柔らかい感情を否定するように言った。 「僕も……ブルーノが……好きです」 「……ウソっけ。全然感情が籠ってないじゃないか!」  淡々とつぶやいた、僕の言葉が気に入らなかったらしい。  ブルーノは、僕をぎゅっと抱きしめると、がっがっが、と孔を穿(うが)つように、乱暴に腰を打ちつける。  さっきたっぷりと塗られたローションと、僕からにじみ出た腸液と……ブルーノの欲望を湛えた先走りの液が、混ざり、温められてペニスの滑りを良くしていた。  じゅり、じゅり、じゅり……りゅっ……じゅぶ  淫らな水音を立てて、出し入れされる欲望に、手加減のかけらもなくイイ所を突かれて、意識が飛びそうになる。 「あっ、あん……くっ……ふ」  喘いで快感を逃がそうとしても、無駄だった。  僕の声は、かえってブルーノの欲情を煽るだけ、みたいだ。  ブルーノは、更に腰を振る速度を速め……僕は悶える。 「あん、あん、んっ…ふっ」  ……この感覚が好き。  与えられる刺激と、快楽の他に何も考えられない………考え無くても良い瞬間が、スキ。  好き……っ! 「あっあっあっあっ!  好き……!  えっち、スキ。  セックス、スキ……っ!  もっと、もっと、もっと、僕を壊して……っ!」 「この、淫乱……!」  ブルーノは、咆えるように怒鳴る。 「オレはっ……本気だ!  本気で、静夜のこと……っ……を……愛してるのにっ!  どうしてっ……お前はいつもいつもっ……相手にさえしないんだっ……!」  ブルーノは、まるで狂ったように、欲望の杭を何度も何度も突き立てる。
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