序 章

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序 章

 死者886名、感染者4588名。  それがこの『Monster killer virus』の感染実績だ。  怪物をも死に追いやるウイルス。  それがこのウイルスの持つ意味合いだった。  爆発的な感染力を武器に、今や全世界に広がったこのウイルスは、巷では『モンスターキラー』と呼ばれた。  感染者は徐々に免疫機能が低下し、初めは風邪症状を呈するが徐々にそれが悪化し、最終的には肺炎が増悪、死に至る感染症だ。  即座に死に至る感染症ではないため、当初は誰もが風邪と思い、全く気にされなかった。  しかし、今や全世界を恐怖に陥れているこのバケモノ級の感染症に誰もが怯え、少しでも咳などをすると、周りからは白い目で見られ、感染が確認される前に隔離されていた。  人類はなすすべがないまま、感染症の餌食となっていた。
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