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白川最後の依頼
この手紙も俺が死んでからあの世で書いている。
「も《・》」と言うのは、さあ、ここからが本題なんだが、問題の「ギフト」を送っていたのは、
それは俺なんだ。
説明が難しいんだが、今川端が住んでる世界で死んだ俺とこの手紙を書いている俺は別なんだ。
つまり、どうしてかは分からないが、ここからだと過去の自分に物を送ることが出来るらしい!
実際こんなにあっさり死ぬなんて思ってなかったからさ、
俺めちゃくちゃ後悔してるんだよ。
北大路部長が喜ぶ燻製器を持って一緒にキャンプに行きたかった、母親に好物の最中を食べさせてやりたかった、衣笠さんと一緒に折り紙を折りたかった・・、てね。
竹田じいちゃんは最期の言葉を書けたかなぁ?
ちゃんと遺族にも伝わったかい?
竹田じいちゃんの家族さ、すごいいい人達だったんだよ。
きっと死に目にも会いたかっただろうけど、余りに突然の別れだったからさ。
そんな後悔をしたもんだから、俺は過去の俺にギフトを送りつけたのさ。
薄気味悪かっただろうけど、俺が死んでしまってから後悔したことを「過去の俺」と「川端」に託したって事だよ。
長々となっちゃったけど、分かってくれたかい?
そこで、俺の最期のわがままになるんだが、お願いできないか。
その「ギフト」をしかるべき人達に渡して欲しいんだ。
燻製器を北大路部長に、エレキギターを俺が倒れた時に店を閉めて車を出してくれたバーの店長に渡して欲しい。
そしてサッカーの観戦はいつものメンバーで行ってくれ。
俺が抜けても毎年同窓会をやって欲しい。
パトランプは川端にあげる。
何か大事な時に使って欲しい!
頼む!俺の無念を晴らしてくれ。
縁起でもないけど、お前もこっちにきたらまた学生時代みたいに馬鹿騒ぎしようぜ!じゃあな!
敬具
あの世でも元気 白川より
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