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入院
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ー二日後ー
「おう、どうだ調子は」
仕事帰りの川端はガサガサとコンビニで買った袋を持って病室に入ってきた。
白川は同じ病室にいる隣のベッドの衣笠さんと話をしていた。
まだ小学一年生の女の子だ。
「おお!お疲れさん!わざわざすまんな」
差し入れのアイスやコンビニで買ったドラえもんの漫画をTV台に置いた。
病室は陽が傾いてもよく光が入ってきて清潔感があった。
アイスは衣笠さんにあげた。
同級生の男がお見舞いに持ってくるものは、こんなにも小学生レベルのものかと思い恥ずかしくなった。
「同じ病室で、もう仲良くなったの?」
川端が聞くと白川は破顔した。
「そうだよぉ!すごいいい子だよ、衣笠さんは。しっかりしてる」
「そらお前と比べたら失礼だよ。ねぇ」
川端も同調する。
衣笠さんは屈託のない笑顔をみせるものの、時折おじさん達に気配りをする瞬間がある。
それが至極自然体で、「この小学生には一生かかっても敵わないな」と川端は痛感した。
川端は、今度来るときはこの子の分も差し入れしようと心に決めた。
「衣笠さんは欲しいものあるかい?」
「うーん。今は折り紙がやりたい!」
「そう言えばこの間ギフトで届いたやつ。色んな柄があって面白そうだったよ!」
白川が横から口を挟む。
「あ、そうだ。俺の家にあるギフト取ってきてくれない?」
「ギフト?あれ持ってくんの?」
「そうだよ〜。また届いてても困るし。まだしばらく入院しなきゃならないし、その間に犯人探しをしようかなぁと」
そう言って、白川は家の鍵を渡した。
衣笠さんはおじさんの話を何故かふくふくと微笑みながら聞いていたが、しばらくすると仕事帰りのお父さんがやってきた。
小柄ながら体格にぴったりと合ったスーツで髪の毛は撫でつけている。
いかにも仕事ができそうで、人なつこい笑顔は衣笠さんに似ていた。
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