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竹田じいちゃん
そうこうしているうちに衣笠さんと老人が帰ってきた。
「お帰り〜!」
白川が笑顔で迎える。
衣笠さんの横に老人が立っていて丁寧に川端と白川の母親にお辞儀をした。
「ああ、お袋と川端!この方は向かいのベッドの竹田じいちゃんです」
白川がお互いの紹介をしてくれた。
病院生活が短いにも関わらず直ぐに仲良くなっているところが白川らしい。
先程の老人はベッドに戻ってからもにこにこしながらこちらを見ている。
美しく見える程真っ白な頭髪に布袋様の様な人の良い垂れ目が特徴的だ。
「竹田じいちゃん」とは衣笠さんに合わせてそう呼ばれているそうだ。
「追加で届いたものはなかったよ」
白川の家でポストを覗いた事を川端が伝えた。
「そうかそうか!持ってても仕方ないし、欲しい人がいたらあげちゃおう」
そもそもタダで手に入れたものだし、と白川は言った。
白川の顔色は土色で、目の下の隈が体調の悪さを表している。笑顔は見せるものの、時折苦しいのか痛いのか顔をしかめるのである。
川端は敢えて病状や体調はについては触れなかった。
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