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ギフト役に立つ
「あ」
竹田じいちゃんが小さな声をあげた。
「どうしました?」
「あ、ああ。大した事じゃないんですが、耳かきをしてたら先が折れてしまって」
竹田じいちゃんが照れ臭そうに笑っている。
ふと、ギフトの耳かきが目に付いた。
「そうだ川端、これを差し上げて」
川端は耳かきを受け取り竹田じいちゃんに渡した。
「ええ、いいのかい白川さん。すまんねぇ」
「どうぞどうぞ!こちらこそいつも頂いてしまってまして」
日頃から竹田じいちゃんはお見舞いにもらったものを病室の皆んなに配っているのだ。
ほな、遠慮なく、と言いながらまた気持ちよさそうに耳かきを始めた。
「謎のギフトも役にたつもんだね」
川端は狐につままれた様な気分がする。
「もしかしたら本当に便利な贈り物だったりして」
川端は少し友人の病状が気にかかりながらも病室を後にした。
母親は白川の家にしばらく泊まるらしい。
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