早くも暗礁に乗り上げる

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早くも暗礁に乗り上げる

そして三月三日の今日。 「そうそう、今日届いたのがこれなんだ」 思い出したように鞄の中を探る白川。 鞄の中からおもむろに配送用の段ボールをガサゴソと出してくる。 ダンボールを開けるとビニール袋に包まれたパトランプがでてきた。 「持ち歩いているのか」 パトランプは電池式でスイッチを入れるとクルクルと回り出した。 段ボールに貼られた宛名書きの送り主の欄には何も書かれていない。 ストーカー説、いたずら説、送り先が間違ったまま他人の荷物を受け取っている説、そして白川夢遊病説。 様々な想像は、川端が呑む紫煙と一緒にカウンターの上空を遊んで霧消していくばかりであった。
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