白川の悩み

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白川の悩み

「ギフトが届くんだ」 白川(しらかわ)は同級生の川端(かわばた)を行きつけのバーに呼びつけて頭を抱えている。 店内は十坪ほどの広さで間口は二間、奥にはテーブルが二卓あり、カウンターの前に椅子が五脚並んでいる。 淡い電球とレコードから流れてくる洋楽が優しく店内を包んでいる。 年代物のレコードや有名人のサインとは別に、美しく手入れされたギターが所狭しと並んでいた。 夕方から店が始まるまでの間、マスターがギター教室を開いているのだ。 「ギフト?」 「そう。短ければ一日置きに、長ければ一週間に一度」 「誰から?」 目の前のグラスで氷がカランと音を立てた。 「それが分かればここにお前を呼びつけてないだろぉ」 白川は今にも泣き出しそうに頭を垂れた。 相当参っているらしい。
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