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「たまたま俺がいて、ショウの様子がおかしいことに気づいて花束を疑ったから被害がでなかったけど、早葵が一人でいたらあの花束を花瓶に活けただろう」
「あの棘を素手で触っていたらどうなってたか判らない。
今回は爆発物なんかは入っていなかったけど、そんなものが仕込んであったらと思うと…」
え…
あたしは血の気が引いていくのが判った。
あたしが、狙われたの?
遼はあたしを強く抱きしめる。
「ごめん。俺の配慮が足りなかった。
もっと早葵の周囲にも気をつけなきゃいけなかったんだ。
俺の友人まで使ってくるとは思わなかった。甘かった」
悔しそうに言った。
「今までは俺にはこんなに大事な人がいたことがなかったから、プライベートにはほとんど考えを及ぼしたことがなかった。
ここにだってたまに寝に帰ってくるだけで、軍に泊まり込んでることが多かった。
仕事をするのにそっちの方が何かと都合が良かったから」
「だけどこれからは、家のこともちゃんと考えなきゃいけないってことを身に染みて感じた。
結婚なんて、俺の方がまだ未熟でできないよな。
もっと大人になって早葵や家族を守れるような男にならないと」
遼は両手であたしの両頬を包み
「特権階級とは名ばかりの、敵だらけの俺だけど…
早葵を守れる男に必ずなるから。
待ってて欲しい」
と言って優しくキスした。
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