4.友人の来訪(2)

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4.友人の来訪(2)

 やっと皆が帰ると、深夜になっていた。  あたしがすきっ腹を抱えてベッドにボーっと横になっていると、ドアがノックされて「早葵、良い?」という声とともに遼が入ってきた。    「遼…」  「ごめんね、遅くなって。お腹すいただろ?  今日はハウスキーパー断っちゃったから、これ、部下に買ってこさせた。  食べよ」  とコンビニの袋を見せた。  リビングのソファに並んで座り、コンビニのお弁当を食べる。  遼は疲れた表情で、黙々と噛んでいる。  「もう、キッチンは使えるの?」  と尋ねると  「うん。完全に解毒して消毒したから大丈夫だよ」  と答えた。  「毒…があの花束に入ってたの?」  「そう。バラの棘に塗ってあった。  あと黒い電子部品みたいなの見た?」  「うん、見た。あれは?」  「盗聴器。  チャチなやつで、水に濡れてとっくにオシャカになってた」    あー…  あたしが思い切り深く水に漬けちゃったから。
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