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遼は大きなため息をつくと、お弁当の容器を置いてお茶のペットボトルを手に取った。
「ショウは士官学校時代の同級生で、特別優秀ではなかったけどとにかく人懐こくて皆から好かれてる奴だった。
うまく立ち回るとか人の考えの裏を読むとかが苦手で、要領のいい奴らに利用されることがあったりして心配な部分もあったんだ」
「たぶん軍の中央本部にいる、俺を排除したい勢力の何某に、なにかうまいこと言われて丸め込まれて利用されたんだろう。
調べたら親御さんが昨年亡くなられたらしいから、中央勤務でもエサにされたかな。
でも悪者にはなりきれない、そんな奴なんだ」
ペットボトルのお茶をがぶっと飲み、遼は瞳を怒らせた。
「絶対にこの件の首謀者を暴いてやる。
あんなお人好しの素直な奴を利用するなんて許せない」
「遼…」
でもあんまり無茶しないで、とあたしは言いたかったけど言えなかった。
遼のあの悲痛な声や表情を思い出してしまって。
「良いお友達だったんだね…」
「ああ…」
遼はあたしの方を向いて「でも今回一番許せなかったのは、早葵をターゲットにしたことだ」と言った。
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