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「遼が心配するようなことは何もなかったけど」
「ああでも、心配で仕方ない。
軍でもどこにでも一緒に連れて行きたい。
許可下りるかなあ」
遼はあたしの方へ向き直って真剣な表情で言う。
「早葵もあんまり可愛い恰好とか、メイクとかしちゃダメだよ?
変な男が寄ってきたらいけないから」
「・・・・・」
あたしは呆れて声も出なかった。
どーしちゃったの。
突然のキャラチェンジですか?
「本当は瞬にも会わせたくないんだよ。
俺は瞬にだけは逆らえないから。
瞬が早葵を気に入って、側仕えにしたいとか言い出したらと思うと」
恐れ多くも畏き皇太子殿下が、こんなド庶民の普通の女子を側仕えに思召すなんて絶対にありえないと思うけど。
「早葵は、俺だけのものだ。
こういう言い方は良くないって解ってるけど、でも俺には、俺そっくりの葉山っていう強大な敵が既にいるんだから。
早葵がこの世界にいるってことだけが俺の葉山に対する唯一のアドバンテージなんだから、絶対に俺だけのものだって言いたい」
えっ!!
あたしは驚いて遼をみた。
遼の目は少し潤んでいるように見える。
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